富山大学COC+関連地域課題解決科目講義レポート

授業科目名:特別講義「LIVING ART in OHYAMA」(地域課題解決科目)

開講学期曜限:2017年前期(取材日8月26日)
デザイン・アートイベント「LIVING ART in OHYAMA」

自然の中でアートコミュニケーション
 芸術文化学部芸術文化学科の学生11人が、8月26日、富山市大山地域で開催されたデザイン・アートイベント「LIVING ART in OHYAMA 2017」に参加し、木を使った木工作品の作り方を子どもたちに指導するなど、ワークショップやイベントの運営を通じてアートへの理解やコミュニケーション能力の向上などを図った。
「LIVING ART in OHYAMA」は旧大山町の事業であった「木と出会えるまちづくり事業」の一環としてスタートし、毎年、子どもたちの夏休みが終わる8月の末に実施しており、会場となった大庄地区コミュニケーションセンターではワークショップや、作品展示、マーケット、富山の食材を使ったカフェなどの催しを通じて、自然や木との触れ合いを呼び掛けている。富山大学のほか、東京理科大や武蔵野美術大の学生らも参加した。


ワークショップは、子どもにも大人にも大盛況
 芸術文化学部の学生は内藤裕孝講師の指導の下、木の端材を使った万華鏡作りや、木をこすり合うことで鳥のさえずりのような音が出るオリジナルのバードコール作りが体験できるブースを設け、内藤講師も「内藤木硝子店」と題し、ガラスと金属線、木片を使ってオブジェを作るブースを出店した。
 万華鏡は三枚の細長い長方形の鏡を合わせた内側が反射する三角柱と透明なビー玉を固定し、木の端材で外側を作って、ストラップをつけて完成となる。身近な素材で本格的な万華鏡を作ることができるのが魅力であり、子どもだけでなく大人にも人気が高く、親子連れが多く参加した。
 万華鏡作りを指導した桑原慎也さんは「ドリルや金づちを使う作業は子どもにとっては危険なので学生が行った。ストラップをつけることで『身にまとう』ことができ、今回の催しの意図に沿った万華鏡が完成する」と述べた。
 木製のバードコールは2~3センチの大きさの直方体を二つ重ねてネジで止めたもので、上と下を持って逆方向にねじると「キュッ、キュッ」と音が出て、小鳥が鳴いているように聞こえる。バードコール本体は学生たちが準備し、ワークショップの参加者は、それをやすり掛けし、毛糸やビーズなどで装飾して仕上げた。
 バードコール作りを指導した平井伸昌さんは「キリやペンチを使う作業では子どもたちに代わってやってあげることで安全を心掛けた」と振り返った。 

小学生のアイディアをかたちにした作品を展示
 イベントでは小学生のスケッチをもとに作品化する「木の冒険道具コンペティション」の応募作品が展示され、富山大学の学生では得能真倫さん、久保江美果さん、進藤正慎さんの作品が並んだ。得能さんは大庄小の沢出かよさんのスケッチをもとに、目とまゆのパーツを選んでお面に付ける福笑いのような作品に仕上げた。
 得能さんは「沢出さんの『泣いている赤ちゃんを笑わせる冒険』というテーマを尊重し、口元は空いていて面を付けるきょうだいの口が見えるようにした。目の部分はマグネット式になっており、眉や目をつけたり外したりしやすくなっている」と自作を紹介した。
 内藤講師は「催しは学生が外部の人とコミュニケーションする貴重な機会になっている。子どもとの触れ合いはもちろん、参加しているプロのデザイナーや他大学の学生達との交流を通して、作品を見たり、話をしたりすることで勉強になる」と期待を寄せた。